駆除・対策薬剤の裏側に記載されている主成分表、その中にある有効成分とはいったい何なのでしょうか。この化学成分の効果を知ることで、効果的な薬品の使用に繋がりますし、使用時に頭をよぎる副作用の不安も減るかと思います。駆除・対策薬剤の効果と毒性について紹介していきます。
駆除薬剤の有効成分は大きく系統別に分けることができます。そして、この各系統別に異なる効果や長短所も存在します。薬剤系統別に主な駆除薬剤の種類を紹介していきましょう。
系統 | 主な有効成分 | 効果 |
---|---|---|
有機リン系 殺虫剤 |
・ジクロルボス ・フェニトロチオン ・フェンチオン |
有機リン系殺虫剤は農薬などにもよく使用される、神経症状を与える薬剤になります。アルカリに反応してすぐに分解してしまうため、残留効果や持続効果が低く、瞬時に使用できる点が特徴です。そのため、アルカリ性の殺虫剤とは併用できない点に注意が必要になります。 ※低毒性で同様の効果を持つオキサジアゾール系(メトキサジアゾンなど)などもよく使用されます。 |
ピレスロイド系 殺虫剤 (植物成分由来) |
・ピレトリン | 天然ジョチュウギクエキスと呼ばれる、植物精油使用をしたピレスロイド系の殺虫剤になります。皆さんもご存知の、蚊取り線香の有効成分はこの除虫菊由来になります。近年では発ガン性などの懸念によって自然由来の殺虫剤が望まれる傾向にあり、この植物成分由来のピレスロイド系殺虫剤は環境面や健康面に配慮した製品と言えます。 |
ピレスロイド系 殺虫剤 (合成) |
・フェノトリン ・ビフェントリン ・イミプロトリン ・ペルメトリン |
除虫菊の成分を化学系の合成で開発したものが、このピレスロイド系の殺虫剤になります。即効性・持続性が高く、素早く駆除を行うことができる特徴があります。除去スプレーだけでなく、フェノントリン液(フェノントリン溶液)と呼ばれる水溶液としても使用されます。人畜に対する毒性が低いのが特徴ですが、魚類に対して毒性が高いために、使用時には周囲の水棲生物に注意が必要になります。 |
ネオ ニコチノイド系 殺虫剤 |
・イミダクロプリド (クロロニコチル系) ・クロチアニジン (チアニコチル系) ・ジノテフラン (フラニコチル系) |
ネオニコチノイド系殺虫剤の大きな特徴として、魚類や哺乳類に対する毒性が低い点が挙げられます。ペットを飼っているご家庭などでも使用が可能な特徴です。もちろん、低くても毒性がありますので、使用量・使用方法には注意が必要なのは変わりません。水性ですので、土壌処理の際には環境への配慮が必要になります。 |
カーバメイト系 殺虫剤 |
・カルバリル ・メソミル |
熱や太陽光などの環境に対して安定した効果が見込めるため、熱による揮発性が気になる場合に使用しやすい薬品になります。しかし、致死効力が高いため、成分保有量や分量などを計算して使用するようにしましょう。マイクロカプセル状などの室内濃度基準を守った用法での使用も有効です。また、カルバメート系と間違われやすいですが、異なる薬品ですので十分に注意しましょう。 |
有機塩素系 | ・オルトジ クロロベンゼン ・ベンゼンヘキサ クロリド ・DDT |
残効性薬剤として挙げられるのが、この有機塩素系の薬剤になります。南京虫対策薬剤として有名なDDTもこの有機塩素系に含まれています。特徴は体内で濃縮され、自然界で分解され難い点になります。そのため、防除用医薬部外品に指定されている事も多く、認可を受けなければ使用できない薬剤もあります。 |
昆虫成長 制御剤(IGR) |
・ルフェヌロン (キチン合成阻害剤) ・ピリプロキシフェン (若幼ホルモン類似剤) |
速効性はありませんが、脱皮や代謝機能を阻害する「窒息効果」があるため、神経性の殺虫剤に抗体がある種にも使用ができます。そのため、抵抗性の高い南京虫や、殺卵剤などが効かなかったノミダニなどにも効果がります。上記薬剤との併用での使用が多く、徹底的に駆除を行う際に重宝される薬剤です。 |
繊維製品 防虫剤 |
・パラジ クロロベンゼン ・ナフタリン |
ゆっくり薬剤効果が拡散していくため、長い期間に渡って防虫・殺虫効果を及ぼすことができます。注意点として、前記のパラシクロロベンゼンとナフタリンは併用不可になります。防虫剤の多くは組合せによって弊害が生じてしまう恐れがありますので、取り扱いには十分に注意をしましょう。 |
木部処理剤 (天然成分使用) |
・ヒバ精油 | 針葉樹ベースの「ヒノキチオール」を含んだアロマオイルが、このヒバ精油になります。天然ヒバ精油成分配合ですので、副作用なく安全に使用することが可能になります。天然素材特有の良い匂いも大きな特徴です。しかし、ヒバ油には殺虫成分はなく、専ら忌避効果を付随させるだけですので注意が必要です。 |
害虫駆除薬剤の多くは昆虫の特効薬として、神経性に影響を与える構造となっています。そのため、妊婦や幼児にに悪影響を与えてしまう恐れもあります。悪影響を防ぐために、メーカーの指定した備え付けの注意書きを熟読し、薬剤は正しく使用しましょう。また、油剤はめやす付きの計量カップなどを別途用意して、正しい用量を守って使用してください。
市販薬として気軽に入手できる缶スプレーの殺虫剤。このエアゾール殺虫剤と呼ばれる殺虫剤の中には可燃性ガスが含まれており、用法を誤ると爆発してしまう恐れもあります。効果的に、そして安全にエアゾールタイプの除去スプレーを使用する方法を解説します。
駆除スプレーの使いかた
私たちは知らず知らずのうちに薬品を使用しています。例えば、農薬などで使用されているジカルボキシイミドなどが配合されたスプレーなども、一般的な家具お手入れグッズとして市販されています。しかし効果や特徴をしっかり掴んでおかなければ、薬が毒に変わってしまう恐れもありますので、使用の際には十分な配慮と注意が重要になります。もちろん、毒性が気になる方は第三者に駆除を任せる方法も有効になるでしょう。ダニ駆除業者はご家庭の安全だけでなく、薬剤の安全な使用を担ってくれる頼もしい存在と言えます。