朝起きて、「虫に刺されたかな~」と思った場合、蚊ではなく、布団に住みついたダニが原因かもしれません。でも実はダニではなくて、トコジラミのしわざという可能性もあるのです。それほどダニとトコジラミの特徴は似ています。
今回は、そんなダニとトコジラミの違いについてご紹介します。活動する時期や繁殖する場所、ダニやトコジラミに刺された場合の対処法や撃退対策まで、これを読めばダニとトコジラミの対策を練ることができるはずです。ダニやトコジラミを退治して、快適な睡眠を確保しましょう。
目次
ダニとトコジラミの生態
ダニとトコジラミの違いを知るためには、まずダニやトコジラミの生態を知る必要があります。ダニとトコジラミの生態や特徴を把握していきましょう。
トコジラミの生態
トコジラミは南京虫やベッドバグという別名で呼ばれており、私たちの生活する場所で繁殖しやすいです。
トコジラミは卵から孵化(ふか)します。孵化した幼虫から成虫に至るまで血液を栄養素とし、主に吸血することによって血液を接種します。吸血を終えた後は、栄養分を体に取り込み尿のように水分を排泄します。排泄した水分は血糞(けっぷん)と呼ばれます。
トコジラミの寿命は1年~1年半程度で、成虫のメスは生涯で約500個もの卵を産みます。トコジラミの活動時期は夜がメインといわれていますが、一日中暗い場所なら時間など関係なく活動します。
またトコジラミはカメムシの近縁となります。巣をつくる場所ではカメムシ同様に独特な臭いを出すのも特徴です。
ダニの生態
ダニはや蚊やノミよりも繁殖力が高く、駆除しようとしても市販の虫よけでは効き目が薄いほどタフです。
ダニのはとても小さく、肉眼で確認するのが難しいのがほとんどでしょう。目に見えない大きさなので、ダニが繁殖しても気づかないことが多いです。
ダニの中には人を刺す種類もおり、刺された場合は赤く腫れ、かゆみを伴います。腫れやかゆみの症状は蚊に刺されたときよりも強力で、約2週間~1ヶ月ほど続くといわれます。
ダニが繁殖する場所は主に部屋の中です。繁殖した場所でのダニの糞や死骸が原因でアレルギー反応を起こしてしまう場合があり、ひどい場合は死に至る危険性もあります。
ダニといえば人を刺してくるイメージがあるのですが、すべての種類のダニが人に刺すというわけではありません。ダニの種類によって刺す、刺さないがあります。ツメダニやイエダニが人に刺すタイプで、チリダニやコナダニは人には刺さないタイプです。
ここでは人を刺してくるツメダニやイエダニについて、それぞれの特徴をご紹介します。
● ツメダニ
ツメダニは、基本的には人を刺しません。ただし、大量に繁殖しツメダニの食料となるチリダニなどが少なくなった場合、人を刺してくる場合があります。刺された後はかゆみや痛みを伴う腫れになり、場合によっては病気へ感染してしまいます。
● イエダニ
イエダニはネズミなどから血液を吸血し、繁殖していきます。そんなイエダニが吸血しているネズミから落ちてしまったり、ネズミが死亡した場合、ほかの吸血先を探して人を刺してきます。
何に刺されたかわからない…簡単な分け方とは?
ダニやトコジラミに刺されても、正直なところ何に刺されたかすぐに判別するのは、知識がないと難しいことがほとんどです。そして、何に刺されたかわからないと適切な処置ができないという不安もあります。
きちんとダニやトコジラミに合わせた処置ができるように、それぞれに刺された場合の特徴をこれからご紹介いたします。
トコジラミの場合
トコジラミに刺されやすい時期はだいたい5~11月です。トコジラミに初めて刺されたときは無症状なことが多いのも特徴です。トコジラミに刺されたのが2度目以降になると数日後に赤く腫れ、強いかゆみが発生します。
トコジラミは移動しながら吸血していきます。そのため、刺された箇所は1ヶ所とは限らず、広範囲に広がってしまいます。またオス・メス・幼虫・成虫関係なく、すべてのトコジラミが人を刺し吸血してきます。
イエダニの場合
イエダニは吸血行動をするダニの一種です。通常5~9月に人に刺してくることが多いのですが、イエダニの媒介者であるネズミが多く繁殖する冬場にも発生する場合があります。
イエダニが吸血する箇所は肌の柔らかいところで、特に血管があるところを刺してきます。
イエダニに刺されたところは赤く腫れ、かゆみを伴い、刺された部分の中央に水膨れとしこりができてしまうのが特徴です。また、刺してくる箇所は1ヶ所ではなく、複数箇所を刺してくる場合が多いです。
イエダニに刺された場所のかゆみは蚊よりも長く、約10日間かゆみが続きます。
ツメダニの場合
ツメダニが繁殖する時期は湿度の高い梅雨~秋にかけてです。
ツメダニは服の中に潜み、刺してくる場合が多いです。またツメダニが刺してくる体の場所は柔らかいお腹や太もも、二の腕などになります。
ツメダニに刺された場合、数時間後にかゆみと共に自覚症状が発生します。また、ツメダニが刺してくる体の箇所は1ヶ所ではなく、複数箇所に刺してくることが多いです。
ツメダニの活動時間は主に夜間です。夜の間に刺してくることが多く、刺された後は1週間ほどかゆみが続いていきます。
トコジラミの発生原因と対処法
トコジラミやダニの特徴と、見分けかたについて簡単に説明してきました。どちらにしても家の中で発生してしまうのは、非常に厄介ですよね。ここからはそんな厄介な被害を及ぼすトコジラミがなぜ発生してしまうのか、その原因と的確な対処方法をご紹介していきます。
なぜ近年被害が増えてきているのか
戦後の時代にはトコジラミの被害が落ち着いており、トコジラミに刺される被害も少なかったそうです。しかし、近年日本と海外を渡航する機会が増えてゆくにつれ、海外に生息していたトコジラミが日本に持ち込まれ繁殖し、被害を拡大させています。
特に2000年以降、欧米でトコジラミが大量発生したときに日本にもやってきたというのが、近年トコジラミによる被害が増えている主要な原因といえるでしょう。
トコジラミが好む場所はどこ?
トコジラミは室内に繁殖します。また暗い場所を好む特性があり、日中は布団の中や畳のすき間、押し入れの中などに潜んでおり、夜暗くなると活動を開始、吸血してきます。
簡単にトコジラミを捕獲できる方法がある!
トコジラミの特徴で「生物が呼吸するときに出す二酸化炭素に反応して集まってくる」というのがあります。その特徴を活かしてトコジラミを集め、捕獲するという作戦もあります。
呼吸で出す二酸化炭素を餌にするからといって、一ヶ所に息を吐き続けるのはとても労力がいりますし、何よりむなしい気持ちになりそうなのでやめておきましょう。ここは、ドライアイスやベビーパウダーを使うのが得策です。ドライアイスやお皿に乗せたベビーパウダーを夜間に設置し、トコジラミを集め捕獲するだけでなく、夜の眠っている間、トコジラミが自分たちを刺してくる被害を少なくする効果も望めます。
この作戦をおこなえばトコジラミの被害は少なくなりますし、うまくいけばトコジラミを一掃できるかもしれません。
ちなみに、蚊も呼吸で出す二酸化炭素に集まる習性があるそうです。
駆除薬剤の効果がないトコジラミもいる
トコジラミの駆除の方法は駆除薬剤を使用するのが一般的です。しかし、トコジラミの中には薬剤耐性が強いものもいます。そういった駆除しきれないトコジラミのために、致死レベルの熱や冷機を与えて駆除をするという方法もあります。高圧のスチームを当てたりすることで、効果的にトコジラミを駆除することができるでしょう。
まとめ
● トコジラミは主に夜間に行動し人に刺してくる
● トコジラミは別名、南京虫やベッドバグと呼ばれる
● ダニはや蚊やノミよりも繁殖力が高く、駆除しようとしても市販の虫よけでは効き目が薄い
● トコジラミに刺された場合、1回目は無症状だが2回目以降は2週間~1ヶ月ほどかゆみが続く
● 人に刺してくる主なダニはイエダニとツメダニ
● イエダニに刺された場合は赤く腫れ、中心に水膨れとしこりができる。またかゆみが10日間ほど続く
● ツメダニに刺された場合は1週間ほどのかゆみが続く
● トコジラミもダニも刺された場合、1ヶ所ではなく複数箇所を刺されてしまう可能性がある
● トコジラミは二酸化炭素にあつまる習性があるので、それを利用して捕獲する手段もある
● トコジラミの駆除には致死レベルの熱や冷気をふりまくという方法もある、例としては高温のスチームなど