近年海外を中心に大量に増殖している南京虫。その正体はトコジラミとも呼ばれ、繁殖力の高い害虫として、駆除する対応が必要になります。
そんな南京虫とはどういった害虫なのでしょうか。また、駆除するための対策や予防方法はどういったものがあるのでしょうか。
よい思い出を作りに海外などへ旅をする人が多いと思います。そんな素敵な旅を、害虫のせいで台無しにされてしまっては、たまったものではないでしょう。この記事で南京虫、トコジラミのことに詳しくなって、しっかりとした対応をおこなってください。
目次
トコジラミ(南京虫)とはどんな虫?
南京虫とも呼ばれるトコジラミとは、いったいどんな害虫なのでしょうか。まずは、トコジラミの特徴からご紹介させていただきます。
トコジラミの特徴
トコジラミは卵から幼虫、そして成虫に成長していきます。それぞれの特徴は、下記を参照してみてください。
● 卵
トコジラミの卵はだいたい1mm程度で乳白色です。形は米粒のようで、ざらついた場所の隙間に産み付けられます。
● 幼虫
体長は1~2mm程度で見つけにくいのが特徴です。薄い褐色をしています。
● 成虫
トコジラミが成虫になると、体長が5~8mmくらいまで大きくなります。体の色は吸血する前と後で違っており、吸血前は薄い黄色や赤褐色、吸血後は濃い茶色や黒っぽくなります。
またトコジラミは羽がありません。自力で長距離移動ができない分、さまざまなものに付着して移動します。
● その他の特徴
トコジラミは吸血する寄生昆虫です。幼虫から成虫にかけて、血液が栄養素になるので、一生吸血行為をします。
トコジラミの発生場所は、じめじめした湿気の多いところです。また、夜になると活動が活発になります。普段は狭くて暗い隙間などに生息しています。
また、トコジラミは飢餓に強いのも特徴です。飢餓状態になっても、半年くらい生きたということもあります。
近年トコジラミは増加している?その原因
トコジラミは戦後の日本にはほとんどいなくなり、被害もなくなっていました。しかし近年、北欧を中心に海外で大量発生し、旅行客の荷物などを媒介にして、世界中に広まってしまいました。日本も例外ではなく、近年トコジラミの繁殖と被害が増えてきています。
トコジラミが運んでくる被害
人の衣類や荷物などに付着してやってくるトコジラミは、どのような被害をもたらすのでしょうか?今回は旅行にちなんで、ホテル側と宿泊客側の視点から説明させていただきます。
【ホテル側が受ける被害】
ホテル側がトコジラミに受ける主な被害は、以下のとおりです。
● 経済的被害
トコジラミが一度発生すると、大量に繁殖しやすいです。そのため、早めの駆除対策が必要になります。業者に依頼してホテル中を駆除しますので、駆除費用がかかってしまいます。
● 衛生面の悪化
トコジラミは暗い隙間などの場所に生息し、糞などの排泄物を残します。その糞が黒い斑点となり、外観を悪くします、衛生面も同様でしょう。
● ホテルの印象の低下
トコジラミは別名ベッドバグとも呼ばれ、夜寝ている時間にベッドの寝具に入り、人を刺してきます。トコジラミに刺された後は、赤くはれ、強いかゆみが来ます。しかも、トコジラミは一か所ではなく複数のところを刺してきます。
このような被害に遭うと、最高の旅が一夜にして最悪な思い出に変わってしまう、といっても過言ではありませんそんな被害のあるホテルの評価が下がらないワケがないのです。トコジラミにはホテルの印象・評価を下げてしまうチカラもあるのです。
【宿泊客側が受ける被害】
宿泊客がトコジラミから受けてしまう被害は、以下の通りになります。
● トコジラミに刺されてしまう
夜ベッドで寝ている間に、トコジラミに複数箇所刺されてしまう場合があります。とても強いかゆみと、複数の部分が赤くはれてしまうので、肉体的にも精神的にもダメージがきてしまいます。
● 糞害
トコジラミがカバンの中など荷物に繁殖してしまった場合、大量の糞がついてしまいます。とても不衛生で、不快な気持ちになってしまうでしょう。また、枕やベッドなどの寝具にトコジラミの糞の黒い斑点が大量にあると、見た目にもよくありません。
● 不快感
よい思い出を作る旅のホテル。せっかくだから素敵なホテルで夜を過ごしたい、そう思って選んだホテルに大量の害虫がいるとしたら...。想像しただけでも、不快な気分になってきてしまいます。
【海外・国内旅行者は必読!】旅行する場合は要注意?宿泊時のトコジラミ対策
トコジラミは海外で大量に発生していますので、自分は大丈夫と思っていても、ホテルに着いたら黒い点が…、なんて事態もありえるでしょう。
トコジラミが生息していないホテルを、探す方法はあるのでしょうか。少しでも被害に遭う可能性を減らすためにも、ここからはトコジラミの被害を受けない、ホテル選びのコツをご紹介させていただきます。
1.ホテルを選ぶときに気をつけたいこと
● レビューや口コミを確認する
ホテルをネットで探す場合は、必ずレビューや口コミを見るとよいでしょう。朝起きたらトコジラミに体中を刺されてたら、何かしらの評判が書き込まれているはずです。過去にトコジラミの被害があったか、レビューなどで確認するとよいでしょう。
また、トコジラミの被害があったホテルでも、その後の対応がしっかりしているかを見るのもよいと思います。一度トコジラミの被害にあって駆除の対応をしているホテルは、万が一トコジラミが再発生しても、十分な対応をしてくれる可能性があります。
● 宿泊客として外国人の割合は多いかどうか
トコジラミの被害は、海外からの旅行者の衣類や荷物に付着したのが紛れ込んで、ホテルに入り、繁殖してしまうケースが多いです。
そのため、海外旅行者の宿泊客が多いホテルは、自然とトコジラミの被害にあう可能性が高くなります。トコジラミの多い地域からの海外旅行者がよく使用している場合は、注意が必要かもしれません。
● 海外のホテルに泊まる場合は「トコジラミ専用の被害報告サイト」を利用する
海外でのトコジラミの被害についてまとめた、被害報告サイトというのがあります。サイトを確認して、トコジラミが発生したことのあるホテルかどうか確認するのもよいでしょう。
ただし、サイトの情報を信じきっても痛い目をみるかもしれません。あくまでも目安としての情報と考えるのがよいでしょう。
2.ホテルに宿泊したらチェックしておきたい場所
宿泊するホテルがトコジラミの被害にあっていないか。ホテルの部屋についたら、まず以下の場所をチェックしてみましょう。
・ベッド付近
・隙間がある周辺
・サイドボードの引き出し
・ソファー
・ラック
・ふすま(和室の場合)
このあたりにトコジラミの糞がないか、確認をしてください。黒い点がトコジラミの糞か確認する方法は、ティッシュなどに乗せ、湿らせてください。血がにじむ感じになったら、トコジラミの糞です。
トコジラミは暗い場所を好み日中は人前に表れにくいので、糞の周辺の隙間に潜んでいる可能性が高いです。できることなら早めの駆除をお願いしましょう。
3.ホテルの管理者に連絡をおこなう
部屋に入ってトコジラミの糞を発見したら、近くにトコジラミが潜んでいます。ホテルの管理者に電話をして対応してもらいましょう。ホテルに着いたばかりですので、ホテルの人に駆除対応をしてもらったり、場合によっては部屋を交換してもらえたりするかもしれません。
海外で必須?トコジラミ被害にあわないためにすべきこと
トコジラミをどんなに警戒していても、まったく被害に合わずに済むとは言い切れません。念には念を、トコジラミの糞がないのを確認したうえで、以下のこともしておけばより安全です。
・トコジラミがいないと判断できるまで、荷物はバスタブに保管をする
・衣類はビニール袋に入れて、できる限り床に置かない
・ホテルを出たら荷物や衣服にトコジラミがいないか細かくチェックをする
・衣類を業務用乾燥機で回し、トコジラミを駆除する
【ホテル施設側の駆除対策】トコジラミが発生…どのように対処・駆除すべき?
これまでは宿泊客へ向けたトコジラミの被害と対策をご紹介してきました。一方で、ホテル側はどうすべきなのでしょうか?
ホテル側の主な被害になるのは、「駆除対応の費用」と「ホテルの評判の低下」でしょう。費用や評判の被害を抑えるためには、どのようなことをすればよいでしょうか。そういった点について、ご説明させていただきます。
1.徹底した社員教育
トコジラミを早期発見できれば、被害が出る前に対応できます。トコジラミは目に見える大きさですが、とても小さいのでしっかり目を凝らさないと発見できません。また、糞から判断できる知識や駆除方法など、一通りのトコジラミへの対応教育をしておくとよいでしょう。
2.業者に依頼をして早急な駆除を
トコジラミの糞を発見しても、トコジラミ自体を発見するのはとても難しいです。トコジラミがいる可能性があるのであれば、早めに業者に依頼をするのも、ひとつの手段になります。
3.熱を使った駆除が適切
トコジラミを発見したときの対処法は、殺虫剤での駆除が一般的かもしれません。しかし、殺虫剤の毒性に強いスーパーナンキンムシも発生しており、殺虫剤を用いた駆除は徐々に難しくなってきています。そういった場合はトコジラミの弱点でもある、熱処理で駆除がおすすめです。スチームアイロンや業務用の乾燥機にかけたり、場所によっては直接熱湯をかけて駆除するのも有効です。
4.日ごろからできる対策
日ごろから、さまざまな宿泊客がホテルを訪れるでしょう。日常の中でトコジラミに対する警戒心をもっているのが、被害を最小限に抑える最善の方法のひとつであるといえます。日ごろからできるトコジラミの対応方法は以下になります。
・トコジラミが浸入する隙間をできる限りなくすよう埋めていく
・すみずみまでの室内の清掃を欠かさずおこなう
・トコジラミの糞を見つけた場合は、その室内のものをほかの部屋に移動させないようにする
・トコジラミの捕獲機を設置して、トコジラミがいないかどうか調査をおこなう
まとめ
● 海外を中心にトコジラミ(南京虫)が増殖しており、旅行先のホテルで被害にあう可能性がある
● トコジラミは別名「ベッドバグ」、ベッドで寝ている間に複数箇所刺して赤いはれや強いかゆみをもたらす
● トコジラミの被害は宿泊客だけではなくホテル側の評判の低下にもつながってしまう
● 宿泊客はできる限りトコジラミがいないか確認し、被害にあわないように注意するのが大事
● ホテル側は日ごろからトコジラミの発生がないか、目を光らせておくことが重要