ノミとダニ。どちらも小さな害虫で梅雨~9月に繁殖し、刺してくるイメージです。ではノミとダニの違いは一体どういった所にあるのでしょうか。それはからだの大きさにあります。
ノミは色々な種類ありますが、基本的に肉眼で確認もできます。それに対して、ダニは非常に小さく全長は0.1mm~0.3mmです。
繁殖するイメージはノミは猫などの動物で、ダニは布団などといったところでしょうか。今回はそんなノミとダニについて、特徴とそれぞれの対策についてご紹介させていただきます。
目次
ノミの生態
ダニとノミの違いは体長の大きさです。ということで、まずは肉眼で確認できるノミについてこれから説明させていただきます。
ノミといっても実は色々な種類があります。そんなノミの特徴や種類を知って、対策できるようにしていきましょう。
ノミの特徴
ノミは正式には「節足動物門昆虫綱ノミ目」というのに属する昆虫です。そんなノミは体の皮膚などの表面に寄生をする昆虫ですので、「外部寄生型」の一種に分類されます。
ノミの体長はだいたい1~9mm程度です。とても小さいとはいえ、肉眼でも確認できます。またオスよりメスの方が大きいのも特徴です。
ノミの繁殖力が非常に高く、寄生をしてから2日で産卵を始めます。ノミの一生は約3ヶ月で短いのですが、産卵する数がとても多く、1日で50個ほど産み続けていきます。
ノミの好物は蚊と同じで人間や動物の血液になります。またノミはオスとメスの両方とも血を吸うのも特徴です。
ノミに羽根はないのですが、跳躍力がものすごく、ノミの身長の100倍くらいの高さが跳躍できます。
ノミの体内に寄生虫がおり、つぶした反動で寄生虫が体内に入り、瓜実条虫症という病気になるおそれがあります。症状としては主に下痢をひきおこします。
ノミのおもな種類
ノミの特徴が分かったところで今度は、ノミにはどんな種類があるのか簡単にご紹介させていただきます。
ノミの種類は日本では約80種類生息しているといわれていますが、私たちの生活の中で見かけるノミは以下の3つになります。
● イヌノミ
犬に繁殖するノミの種類です。全長は約1~4mmでネコノミに似ていますが、前頭部がやや丸みを帯びているのが特徴です。
● ネコノミ
猫に繁殖するノミの種類です。全長は約1~3.5mmでイヌノミに似ていますが、前頭部がやや平べったいのが特徴です。
● ヒトノミ
人間に繁殖するノミなのですが日本ではほとんど見かけません。全長は約2~3mm。
現在ヒトノミやイヌノミは日本ではほとんど見られず、ネコノミが一般的なノミと言われています。
またネコノミだからといって猫にしか繁殖しないということはありません。人間にも犬にも繁殖しますので、注意が必要です。また、サナギの状態の時は粘着力がとても強く、身体をゴミに付着させて身を隠します。
ダニの生態
ノミの生態を説明したあとはダニの生態について説明させていただきます。ノミとは違って肉眼の見えないほどの小さなダニは一体どんな生態なのでしょうか。
ダニの特徴
ダニはノミとは違い、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目という属性になり、正確にはクモの仲間になります。ダニの種類は非常に多く、全世界で約2万種類のダニが存在するといわれています。ダニの体長も基本的には小さいのですが、種類によっては肉眼で確認できるほどの大きさのダニもいます。
ダニの主な種類
日本に生息している主なダニは「ヒョウヒダニ」「コナダニ」「ツメダニ」「イエダニ」「マダニ」の5種類です。
ではそれぞれの種類についての特徴や、どういった床にひそんでいるのかについてご紹介します。
有機物質を好んで食す「ヒョウヒダニ」
(全長) … 肉眼で見つける事が難しいほど小さい
(生息場所)… じゅうたん・ソファー・寝室・家具の裏側などあらゆるところに生息
(繁殖時期)… 1年中みかけるが、特に5~9月に繁殖する
(好物) … フケ・汗・垢など
(特徴) … 人を刺したりはしないが、ヒョウヒダニの死骸や糞が原因でアレルギーになる場合がある
またヒョウヒダニが増殖すると、ヒョウヒダニを捕食するツメダニが繁殖し始める。別名はチリダニ
食品にひそむ「コナダニ」
(全長) … 体の色が半透明でとても小さく肉眼で確認する事は難しい
(生息場所)… 乾物、調味料、パン粉、味噌、菓子類など多種の食品
(繁殖時期)… 湿度の高い梅雨
(好物) … 広範囲の食品
(特徴) … 梅雨や秋口に繁殖し、主にパンなどの食品に繁殖する
人を刺すことはごく稀で、大量に繁殖するとコナダニを捕食するツメダニが繁殖する
ダニや小型の昆虫を捕食する「ツメダニ」
(全長) … 約1mm以下はほとんどで、肉眼で確認するのは困難
(生息場所)… ヒョウヒダニやツメダニの繁殖している場所
(繁殖時期)… 梅雨の時期に大量発生する
(好物) … ヒョウヒダニやツメダニ
(特徴) … ヒョウヒダニやツメダニが増殖したら繁殖するダニで、人を刺す特徴がある
ツメダニに刺された場合、蚊に比べて痒みや赤みが強く、1,2週間跡が残る
動物の身体に張りついて吸血する「イエダニ」
(全長) … 大き目のダニで肉眼で確認ができる
(生息場所)… 住宅などに生息しているネズミの体や巣に寄生する
(繁殖時期)… 5月頃から発生し、6~9月が最盛期
(好物) … ネズミ・哺乳類の血液
(特徴) … ネズミや鳥に寄生する吸血性のダニ 夜に活動する事が多く、人を刺すのも夜が多い
吸血すると体が丸くなり、体の色も赤褐色から黒褐色に変わる
命を脅かす可能性のある「マダニ」
(全長) … 約3~4mmの体長で肉眼でも確認できる
(生息場所)… 森や草むらなどの自然で発生する
(繁殖時期)… 3~4月から活動をはじめ、10~11月頃に本格的に活動をする
(好物) … 血液
(特徴) … 外で遊んでいるときやペットに付着する場合があり、マダニが吸血する約10mmまで大きく膨らむ マダニに刺されると感染症の危険があり、特に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が発症してしまうと、生命の危険もあるので注意が必要
ダニ・ノミの駆除・忌避方法
さまざまなノミやダニの特徴がわかり、中には感染症の恐れがあるノミやダニもいます。そういったノミやダニを駆除する方法についてこれからご紹介します。
1.温度を上げる
これはノミに対しての駆除方法なのですが、ノミは高温に非常に弱く、熱を与えると死滅する特徴があります。
一般的なノミは35℃以上で死滅します。体温でも死滅するノミもいますが、ちょっと気味が悪いので、暖房をつけたり、ドライヤーをあてるとノミ退治できます。反対に夏場はクーラーなどで体温の表面温度が35℃以下になってしまう場合があります。そういう時はノミを熱で退治できませんので注意してください。
2.掃除機で吸い取る
ノミもダニも家の中のさまざまなところで繁殖します。またダニは特にですが見えにくいです。
そんなノミやダニをいっそのこと掃除機で吸い込んでみてはどうでしょうか?部屋のソファーやじゅうたん、カーペット、畳、家具の裏や部屋の隅など、ノミやダニが繁殖しやすい場所を吸い込むのは効果的です。
3.テープで密着させる
肉眼で発見できるほどの大きさのダニ・ノミを捕まえたら爪でつぶすのはあまりよろしくない(衛生的に)ので、テープにはりつけ、粘着面どうしで包んでしまえば簡単に対処できます。
目に見えないダニを潰していると考えるだけでも、あまりよい気分ではないものです。肉眼でも確認できるノミや大型のダニを手でつぶしてみるのは、なおのこと気分が悪くなる人もいると思います。自分やペットの体に付着しているのが確認できてしまったら退治しなければ刺されたり感染症になってしまいます。そういった場合はテープで密着させるのが有効です。テープをたためばそのままゴミにもだせますので、一石二鳥です。
4.薬品を使用する
ノミやダニに対して駆除用の薬剤を使用する方法もあります。駆除用の薬剤には、液体タイプ・くん煙タイプがあり、ペットに付着したノミへは外部薬・内服薬を使用して駆除できます。
ただし、薬品によっては幼児や高齢者、ペットに大きな影響を与えてしまう危険があります。特に劇薬となる駆除薬品は水に溶けやすく、金魚や熱帯魚を飼っている場合は使用を避けた方がよいです。
5.ハーブ油を使用する
家庭で使用するアロマオイルの中には、ハーブ類のつんとした香りのものがあり、種類によっては生物にとって、苦手な香りとなる場合があります。そのため、周囲に散布したり、ノミやダニが苦手な成分の入っているハーブ油を容器に入れておくのもひとつの手段です。
ただし原液は人の身体にもよくないので注意が必要です。身体に散布する場合はエッセンシャルオイルで薄めてから使用してください。また香りによってはペットが嫌がる場合もあります。
まとめ
今回はノミとダニのそれぞれの特徴と対処法についてご紹介してきました。
● ノミとダニの違いは体長の大小
● ノミは昆虫でダニはクモの仲間
● どちらも種類が世界中に生息しており、なかには症状によっては生命にかかわる感染症を持っているのもいる
● 駆除方法としてはノミなら部屋の温度を35℃以上にする
● ノミとダニの両方に有効な手段は掃除機で吸い込んだりテープに密着させる。また駆除用の薬品やハープも有効