台所の戸棚をのぞいたら、白く小さな虫が集まってうごめいている……。想像しただけでも恐ろしい光景ですよね。屋内で見かけるダニの1種「コナダニ」は、食品などをエサとして繁殖します。コナダニが発生したときには、どのように駆除すればいいのでしょうか。
このコラムでは、コナダニの駆除方法や発生原因、コナダニが人にもたらす害など、駆除をするうえで知っておきたい情報をお教えしていきます。すぐにできる駆除の方法だけでなく、発生をふせぐための対策もご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
今すぐコナダニを駆除したい!効果的な方法とは?
0.5mmに満たない体長のコナダニは1匹ではごく小さいですが、大量に発生すると名前の通り、粉をまいたようにあたりを白く覆います。その様子を見つけたら一刻も早く駆除したいですよね。まずは、手っ取り早いコナダニの駆除方法をお教えします。
コナダニの発生した食品は捨てる
コナダニは食品の表面にびっしりと付着します。とくに小麦粉などの粉ものに発生したときには、コナダニと粉を見わけることは不可能でしょう。残念ではありますが、コナダニの発生した食品は捨ててください。
食品の保管場所にまだコナダニがいる可能性もあるので、掃除用のアルコールシートなどで消毒しておきましょう。その後、ドライヤーで乾燥させることで隠れているコナダニを死滅させられます。死がいを残さないために、改めてシートで拭いておくとより安心です。
畳には薬剤を使う
台所だけでなく、畳でコナダニを見かけることがあるかもしれません。そのようなときは、市販されているダニ駆除用の粉剤やスプレーを使用しましょう。
「掃除機で吸うことでは駆除できないの?」と思われる方がいるかもしれません。たしかに、コナダニの死がいやフンを回収するためには掃除機は有効といえるでしょう。
しかし、生きているダニは掃除機に吸われてもしぶとく耐えるため、なかなか駆除することができないのです。まずはスプレーなどで死滅させ、そのあとで死がいを回収するのが効果的でしょう。
長期的なダニ駆除には、畳の下に敷くタイプの防ダニシートをおすすめします。ダニの繁殖をふせぐ成分のふくまれたシートで、徐々にダニの数を減らしていくというものです。畳の奥にひそんでいるダニまで、しっかりと駆除したいという方はぜひご活用ください。
被害が深刻なときは専門業者に相談を
あまりに大量のコナダニを見かけた場合、自分だけで対処することがためらわれるかもしれません。食品を捨てて薬剤を使用したとしても、ふたたびコナダニが発生するのではないかと心配にもなるでしょう。
自力でのコナダニ駆除が難しいと感じたら、ダニ駆除のプロに相談してみましょう。畳でコナダニが大量発生したときには、高温で畳を乾燥させる処理を依頼するのも効果的です。
コナダニを駆除しないとどうなるの?
一般的なダニのイメージと違い、コナダニは人を刺したり吸血したりすることはありません。そうはいっても、白く粉がふいたような大量発生の様子は、見ていて気持ちのいいものではないですよね。
また、コナダニを駆除せず放置すると、精神面だけでなく健康面でも害となる恐れがあるのです。そのリスクをしっかりと認識し、早めの駆除を心がけましょう。
ダニアレルギーを引き起こす
ダニの入っている食品を誤って口にした場合、体質によってダニアレルギーの症状が出る恐れがあります。アレルギー体質の方が食品とともに大量のダニを摂取したことで、アナフィラキシーショックを起こしたという事例もあるのです。
直接口にすることがなくても、ダニの死がいやフンは空気中にただようハウスダストになり、人の体内に取り込まれます。これらもアレルギー症状の原因となりうるでしょう。
ツメダニの発生につながる
コナダニの大量発生は、同じダニの1種であるツメダニを呼び寄せることにもつながります。ほかのダニや小さな昆虫をエサとするツメダニは、大量発生したコナダニを糧に繁殖するのです。
ツメダニは人を刺すこともあり、刺されると腫れやかゆみなどの症状があらわれます。人を刺さないコナダニを放置することが、やがて人の健康を害することにつながることを知っておきましょう。
コナダニが発生する原因
コナダニを駆除するうえで大切なのは、発生した原因を見きわめることです。どこで・なぜ発生したのかをしっかりと把握し、原因の根本から解決しましょう。
さまざまな食品をエサにする
コナダニは、小麦粉やホットケーキミックスなどの粉もの・調味料・お菓子など、さまざまな食品をエサとしています。これらの食品が、湿度の高いところで密閉せずに保管されていると、コナダニにとって絶好のエサ場となってしまうのです。
密閉容器と乾燥剤を使い食品を保管することで、コナダニの発生は予防できます。また、ダニは低温のなかでは繁殖しない生き物です。常温ではなく冷蔵庫で食品を保管しておけば、より安心できるでしょう。
カビ・畳のワラからも発生
コナダニは食品だけでなく、カビや畳のワラまでもエサにしてしまいます。畳は湿気をふくみやすくカビの発生源ともなりやすいため、コナダニのエサが豊富にある場所といえるでしょう。
「新築の家なのにコナダニが畳にいる!」ということがしばしばあります。じつは、畳は新しいものほどワラの吸湿能力も高いのです。新築の家でも、和室に湿気が集まりやすいつくりでは畳にカビが発生しやすいといえるでしょう。
コナダニ対策は掃除と湿度管理で!
コナダニの駆除に成功したら、発生をふせぐための対策をすることが大切です。コナダニの発生は、ちょっとした習慣で予防することができます。「掃除」と「湿度管理」というポイントをおさえ、コナダニ対策を習慣づけましょう。
発生場所を清潔にたもつ
コナダニの発生源になりやすい食品の保管場所では、エサとなる粉などがまわりにこぼれていないかを確認しましょう。こぼれているのを見つけたらすぐに拭き取り、清潔にたもってください。
また、食品の保管場所についても見直しましょう。常温でじめじめとしたところでは、カビが発生する可能性もあり衛生的ではありません。冷蔵庫や冷凍庫、あるいは適度に風の通る清潔な場所で、密閉容器や乾燥剤を活用して保管してください。
同じくコナダニの発生場所になる畳も、清潔な状態をたもつよう心がけましょう。畳のカビは消毒用アルコールをスプレーし、歯ブラシなどで胞子をかき出すことで取りのぞくことができます。雑巾による水拭きは、畳に湿気を与えてしまうので避けてください。
部屋の湿度に注意する
コナダニに限らず、ダニは湿度の高い環境を好みます。窓を閉め切っていると部屋の湿度は上昇し、ダニの発生に適した環境になってしまうのです。晴れた日には窓をこまめに開けて換気し、乾燥した風を取り込むよう習慣づけましょう。
また、畳は湿気をふくみやすいため、年に2回ほど干すことをおすすめします。畳を干すときには日光による変色を避けるため、裏側を外へ向けましょう。部屋の外へ畳を持ち出すのが難しいときは、畳を持ち上げて空き缶などをはさみ、風を通すだけでも効果的です。
畳のうえにカーペットを敷くことも避けましょう。畳のなかの湿度を高めてしまうだけでなく、発生したダニの隠れ場所にもなってしまいます。日常的に畳を乾燥させることは難しくとも、湿気をためないための工夫は心がけましょう。
まとめ
コナダニは、吸血したり人を刺したりするダニではありません。しかし、コナダニを放置すると、ツメダニの発生やアレルギーの原因になってしまいます。コナダニが大量発生したときにはすぐに駆除しましょう。
コナダニの主な発生場所は、食品のまわりと畳です。食品は密閉して保管し、開封したものは早めに使い切るか冷蔵庫に入れるようにしましょう。畳にはカーペットなどを敷かず、部屋は風通しをよくして湿気がこもらないようにしてください。
被害があまりに深刻だったり、発生の原因を特定できなかったりする場合には、ダニ駆除のプロに相談してください。見落としていた発生源や再発生防止のための対策など、被害をやわらげるための情報を教えてもらいましょう。