ダニの特徴や習性を知ることで、ダニの発生リスクを大幅に低減することができます。ダニ対策を考えている方も、ダニが発生して困っている方も、ダニを知れば有効な対策ができるでしょう。ダニを知るべく、ダニの基礎知識と繁殖条件について紹介していきます。
二の腕や脇の下に内出血!?膝や肘などの露出部分に噛みつくことも多いダニですが、実は吸血するダニはごく僅かになります。住居に住み着くダニの中で、この吸血ダニの数は全体の1割にも満たないのです。では、その他のダニはどんな生活をし、どんな被害を私達に及ぼすのでしょうか。住居に住み着くダニを表と共に紹介していきます。
発生源
布団やソファーなどの布製品
餌(えさ)
タンパク質をエサに繁殖します
被害
脱皮殻や死骸片がアレルゲンとなって喘息などを引き起こします。
特徴・生態
とても小さなダニで、頭部・胴部を合わせた体長が0.1ミリ程度の大きさしかありません。死骸やふんなどが呼吸器官に入り込むことによってアレルギーを引き起こします。また、この種を捕食する大型のダニも増殖しますので、ダニ被害の根本解決のためには、このチリダニ対策が必要になります。
発生源
食品やタタミなど
餌(えさ)
コナダニのご飯は乾燥した食品です
被害
カビや食品に被害を及ぼします。また、食品の他にも農作物にも被害を与えることがあります。
特徴・生態
主に食害によって農業被害や生活被害を与えるダニです。好物は粉物で、白い粉が吹いたような被害を食品に与えてしまいます。また、コナダニはツメダニのエサでもあることから、他の被害に派生してしまわないように対処が必要です。ゴム製品や瓶製品などを使って、食品の保管をしっかりと行いましょう。
発生源
カーペットやタタミなどの他のダニが繁殖している所
餌(えさ)
チリダニやコナダニなどを食べるのがこのツメダニです
被害
小形の生物を食していますが、口器の針で人を刺すことがあります。痛みや腫れの他に病気を媒介するケースもあります。
特徴・生態
小さな生きものや他のダニを捕食するダニで、吸血性はありません。そのため、血の出ないダニ被害の多くはこのツメダニによって引き起こされているのです。エサは血ではなく他のダニなどの小さな生きものになりますので、エサである「小さな生きもの」への対策を行うことで、自然と被害が減少します。
発生源
野鳥や野ネズミなどの脊椎動物に吸着しており、宿主と共に迷入してくる迷入種
餌(えさ)
イエダニは寄生吸血性を持っています
被害
動物寄生性を持っており、宿主のネズミなどが死んだ場合、人から吸血を行います。血管内に保有菌を注入してしまう恐れがあります。
特徴・生態
吸血性を持ち、夜行性であるのがこのイエダニです。吸血性を持っているので血行には敏感です。普段は寄生先の脊椎動物の血液を吸いますが、寄生先のネズミや鳥などと一緒に住居に侵入し、人を刺すことも少なくありません。人を刺すことで病原菌を媒体することもありますので十分な対策が必要です。
ダニの種類によって、食性や習性に大きな違いがあります。寄生虫と言われるダニは一握りで、進化過程の突然変異によって寄生性(動物・昆虫寄生性)を得た限られた種類になるのです。しかしダニ各種の同一項として、頭胸部や触覚などの体のつくりだけでなく、発生条件においても同じ条件があります。
各種に対応するエサが近くにあり、なおかつ高温多湿の環境下で、ダニは発生・繁殖します。次の項では、この重要な発生条件となる「高温多湿」について考えていきましょう。
一般的に、ダニは高温多湿が大好きで、繁殖期にはねずみ算式に個体数が増えていくと言われています。日本の雨期、梅雨はゴールデンウィークからお盆休みにかけての温かい夏場になりますので、高温多湿になりやすい傾向にあります。少しでもダニ繁殖を防ぐために、繁殖の温度条件・湿度条件に分けて迫っていきましょう。
ダニの繁殖温度は20~30度になります。この気温・室温下においてダニの繁殖力は強まるのです。つまり、冬場でも暖房機器などで室温が20度以上であれば、ダニの繁殖圏内と言えるでしょう。
【20度よりも低温の場合】
ダニは寒くなると冬眠状態になります。ダニの成虫が死滅したとしても、ダニは卵や蛹の状態で寒さに耐えることもできるのです。
【30度以上の場合】
熱でダニ退治をする場合、50~70度が目安とされています。つまり、ダニは夏場の暑い室内環境でさえ耐えぬくことができるのです。
ダニは乾燥状態では生きることができません。ダニの生息に適した湿度は60~80%になります。特に湿度70~80%はダニの繁殖に適した湿度になりますので、湿度計などを利用して湿度対策を行うことが重要になります。
【湿度対策】
・布類に乾燥機をかける
布団乾燥機などで布類の湿度を下げることで、ダニを乾燥死させることができます。
・こまめに換気をする
あたりの湿度を下げる方法として換気は重要な対策になります。チリダニ被害のアレルギー被害の対策にもなります。
・湿度を吸い込む素材を取り除く
掃除をして、湿度を吸い込む室内塵を取り除くことで湿度対策をすることもできます。湿度対策だけでなく、
同時にダニの産卵場所や潜入場所を減らすこともできます。
温度・湿度の管理は意識的に行いましょう
日本全国の年間平均気温は約15度、平均湿度は約70%になります。つまり、室内の空調設備を稼働させることによって、ダニの繁殖圏内にすぐ入ってしまうことに他なりません。そのため、意識的に温度・湿度対策を行う必要があるでしょう。
ダニの生息・繁殖条件を知ることは、有効なダニ対策に繋がります。具体的には、繁殖圏内となる湿度・温度を意識的に避け、エサを取り除くことで、自然にダニは減少していくのです。もちろん、この方法は長期的な予防策になりますので、ダニ被害の対処法としては別の方法を採ることが重要になります。害虫駆除業者に駆除を依頼し、駆除効果を高めるために上記方法を採ることも一つの案となるでしょう。温湿度を避け、ダニを避けて、快適な生活を送ってみてはいかがでしょうか。
ダニの増殖スピードは驚異的
ダニは引越し先や外出先などから思いもよらない方法で入ってきます。初めは数十匹ほどであっても、放置しておくと、約10週間で1万匹を超える程に急増します。すなわち、ダニ駆除は付着したダニそのものを除去するだけでなく、増殖の原因を取り除き、ダニをシャットアウトすることがとても重要なのです。
湿度を下げることが最も有効な対処法
ダニの生息許容範囲は、室内の湿度が約60~80%になるジメジメとした場所です。55%を下回ると死滅するので、下記のような対処方法で住居環境における適度な乾きを維持するようにしましょう。
布団は適度な湿気があるだけでなく、エサとなる皮脂などが豊富にあるため、ダニの増殖に非常に適しています。防虫加工が施してあり、虫がつかないような布団もありますが、使用頻度によって効果は薄れてしまいます。布団のダニが原因であまりのかゆさに寝不足になるという被害も実際にあるため、被害原因への対策が最優先の箇所になるといえるでしょう。
50℃以上の熱によってダニを死滅させることができます。身の回りのものではドライヤーでの熱処理も問題解決の方法となりますが、20~30分以上熱風を当て続けないと効果が無いため、あまり現実的ではありません。また、UVライトの明かりで死滅させる商品もありますが、その効果が絶大なものであるかどうかはまだ定かではないのが現状です。そこで使用をオススメしたいのが布団乾燥機。天候に左右されず室内処理が可能ですし、ダニの生息条件に適さない環境を瞬時に作り出すことができます。緊急の場合は、ダニが通り抜けることが出来ないビニールシートを布団の上に敷くという方法もあります。
吸水性の高い畳でダニを増殖させないようにするためには、極力湿度を減らすように心がける必要があります。部屋の換気を欠かさないようにすることはもちろん、下記のような方法も吸水力のある畳のダニの増殖を抑えるのには有効です。
吸水性の高い畳でダニを増殖させないようにするためには、極力湿度を減らすように心がける必要があります。部屋の換気を欠かさないようにすることはもちろん、下記のような方法も吸水力のある畳のダニの増殖を抑えるのには有効です。
1. 年2回(春と秋)に「畳干し」を行なう
畳表が日焼けしないように、必ず畳の裏側を日光に向けるようにしましょう。
2. 畳の上にカーペットやラグなどを敷かないようにする
畳が吸収した湿気の発散を妨げる原因になります。
3. 床暖房を導入する
畳の奥に潜んでいるダニを完全に駆除することは難しいですが、床暖房があればその熱により表面に移動してくるため、掃除機で簡単に吸い取ることが出来ます。