ダニなどの害虫といえば、室内から発生するというイメージがあるのですが、実は外からも入ってきます。また,外で繁殖している害虫は、室内の場合より発見するのが難しく、駆除などの対応も大変なことは事実でしょう。
屋外での害虫対策や、室内に入れないための予防方法は、知識として身につけておくと安心です。今回はそういったかたのために、屋外での害虫駆除や予防方法について、ご紹介させていただきます。
目次
ダニは家の中だけではない!外にも潜む危険なダニ
ダニにもさまざまな種類があります。室内だけでなく野外でも繁殖する種類があり、中には人にとって危険なダニもいます。そういった屋外に生息するダニについて、ご紹介させていただきます。
外に潜む3種類のダニとは
屋外で被害にあいやすいダニは主に、「マダニ」「赤ダニ」「イエダニ」の3種類になります。
近年、森林伐採や環境変化で出てきた野生動物に寄生しているダニもおり、屋外でのダニによる被害が増えてきています。
● 命にかかわる危険性もあるマダニ
マダニは、別名「殺人ダニ」と呼ばれるくらい危険なダニです。マダニに噛まれた場合、感染症になる恐れがあります。また、感染症の症状によっては最悪死亡する被害も出ていますので、注意が必要です。
マダニは屋外に生息しているダニです。人を噛むと1週間~2週間の間は離れず、体を1㎝ほどまで膨らませます。その存在は、非常に恐ろしいものといえるでしょう。
● 庭先に出る赤い虫は赤ダニ
5月から6月にかけて出現する、赤い1mmぐらいの虫の集団の正体は、タカラダニと呼ばれるダニです。特に人体への被害はないのですが、コンクリートや手すりなどに、赤いのが群がっていてると、気持ち悪いと思う人が多いでしょう。
また、赤ダニをつぶすと赤い体液が残って気持ち悪いままになってしまいます。殺虫スプレーでの駆除をオススメします。
● 野生動物に寄生している可能性があるイエダニ
主にネズミや鳥などの動物に寄生するダニです。また、人にも乗り移って刺してくる可能性があります。
イエダニに刺されると、蚊に刺されるよりも強いかゆみや、赤く腫れが生じます。ひどい場合は感染症を引き起こしてしまいますので、注意が必要です。
ダニから受ける被害
ダニによっては人を刺してきたり、噛んだりしてきます。ダニへの被害の症状としては、赤く腫れあがり、強いかゆみに襲われてしまいます。
またマダニなどの種類によっては、感染症になる恐れもあります。最悪の場合、死亡するおそれもありますので注意が必要でしょう。
また、ダニの死骸や糞などの老廃物が原因で、アレルギーを引き起こす場合もあります。ダニアレルゲンと呼ばれるもので、アレルギー源は目には見えないほど小さなものですので、検査が必要になります。
ダニが外にいる・体についていた場合の対処法
ダニが人や動物の身体を刺したり噛んだりしているのを見つけたとき、どのように対処すればよいでしょうか。ダニだからといって強引な対処をしたら、大変な事態にもなりかねません。
● マダニの対処は自力では困難に近い
マダニは人体の皮膚を切り裂き、体の中に入り、血管からの吸血を1~2週間の間おこないます。
皮膚の中にマダニが入っている状態ですので、吸血中に無理に引き抜こうとすると、頭部が皮膚の中に入ったままになったり、傷口にさらに細菌が入ってしまう恐れがあります。
無理して抜かずに、医者などに行くのが良いでしょう。
● タカラダニをつぶして駆除するのは厳禁
赤いダニのタカラダニをつぶしても、人体に影響はありません。しかし、赤い体液が出て服やコンクリートに赤い汚れが付くと、キレイに洗浄することは難しいでしょう。
赤い体液は、基本的に付着する能力は低いので、水で流せば取り除けるのですが、コンクリートにいっぱいタカラダニが繁殖しているようであれば、そこにタカラダニの卵がいっぱいある証拠です。
タカラダニはつぶさずに、殺虫スプレーなどで駆除するのが得策でしょう。
イエダニ被害を回避するには
イエダニは、ネズミなどの外にいる野生動物に張り付いて生活しています。そのため、野生動物に寄生している可能性が高いです。イエダニの被害を防ぐにはまず、野生動物に触れないことが重要となります。
また、死んで間もない動物にも寄生している可能性があります。野生動物の死骸に触れる場合があるときは、イエダニの被害にあわないよう注意してください。
外で拾ってしまうこともあるノミ…その原因と駆除方法
犬や猫が散歩しているときや、子供が外で遊んでいるときに、ノミが付着してしまう場合があります。
ここではノミを拾ってしまう原因や、駆除をする方法について紹介させていただきます。
ペットや子供が被害にあいやすいノミとは
ノミは体長の約100倍の高さまでジャンプできます。そしてノミは、基本的に目で見えるくらいの大きさです。
ノミの特徴で人や動物の体温や音、匂いに反応します。また、ノミは暗くて湿度の高いところが好きですので、子供や動物が草むらなどを通っているときに付着する場合が多いです。
ノミから受ける被害
ノミから人や動物が受ける被害は以下のとおりです。
● 刺される
足や下半身を中心に刺してきます。ノミに刺された箇所はかゆみが長く続きます。また、1箇所ではなく体の複数箇所にノミは刺してきます。
● ペットへの被害
ノミは人よりも犬や猫などのペットを刺してきます。ペットも同様で長いかゆみが続きます。かゆい部分を掻いたことによってペットの毛が抜け落ちたり、皮膚が荒れたりしてしまいます。
● 細菌を持ち込まれる
ノミは色々な細菌を持っています。刺したときに一緒に細菌が入り、感染症になる恐れがあります。
ノミが外に繁殖していた場合の駆除方法
ノミが外で繁殖しているのを見つけた場合、その駆除はどのようにすればよいでしょうか。ここからは屋外のノミの駆除方法について説明させていただきます。
1.熱湯を散布する
ノミは熱や水に弱い部分があります。そこを利用して熱湯を散布するとノミが駆除できます。また、ダニなどの害虫も熱や水に弱いので有効です。
熱湯をかける方法は手軽で、環境に悪いものでもないのでエコです。ただし広範囲に熱湯をかける場合、用意するのが大変になります。火傷にも注意が必要です。
2.庭のお手入れをする
ノミは暗くて湿気の多いところに生息します。庭の雑草などを刈り取り、風通しをよくすれば、湿気が集まらずノミも繁殖しにくくなります。
3.石鹸水で捕獲してみる
ノミを捕獲する方法では石鹸水が有効です。ノミが生息しているか不安な場合、この方法を試してみるとよいでしょう。
ただし、外に設置するため石鹸水を放置すると蚊の幼虫が繁殖しやすくなります。水はこまめに変えてください。
4.野生動物を拾わない
ノミは野生動物に寄生しています。野良犬や野良猫を拾ったらノミが寄生していた…なんて場合もありますので、野生の動物を拾うときはノミにも注意をしてください。
また、野生のネズミなどを室内に入れないようにするのも大切です。害獣よけグッズを使うことを、オススメします。
トコジラミはものを経由してくる可能性がある
ダニやノミ以外にもトコジラミという害虫も屋外からやってくる場合があります。トコジラミは色々なものを経由して、室内までやってきます。
トコジラミはどのようにしてやってくるのでしょうか。
近年被害が増えつつあるトコジラミとは
もともと日本国内でのトコジラミは、戦後にほぼ絶滅していました。しかし近年、海外で大量にトコジラミが増殖してしまい、その関係で日本にもやってきてしまいました。
トコジラミは飛ぶことはできないのですが、人の服やカバン、荷物などに付着して移動します。また、トコジラミはとても小さく付着していても気づきにくいです。外出した時に付着し、室内に持ってきてしまうことが多いです。
トコジラミから受ける被害
トコジラミは別名、ベッドバグとも呼ばれ、夜に活動し、ベッドの布団から人に刺してくる場合が多いです。
部屋の隅などで黒い点が大量にある場合、それはトコジラミの糞かもしれません。トコジラミが集まり、卵などもあるかもしれません。黒い点の集団を発見したら、駆除対策をするとよいでしょう。
トコジラミが外に繁殖していた場合の駆除方法
トコジラミを家の中に持ってこないためにも、家の庭などで発見した時点で、トコジラミを駆除したいものですね。屋外でのトコジラミの駆除方法には、いったいどんなものがあるのでしょうか。
1.熱湯を散布する
トコジラミもノミと同様、高温や水に弱いです。そこを利用して、熱湯をかけると効果があります。ただし、広範囲に生息している場合は、熱湯の準備が大変になりますので、殺虫剤など、ほかの駆除方法と併用していきましょう。
2.物理的駆除をおこなう
トコジラミの場合は、ダニなどの害虫に比べて目視しやすいです。そのため、直接つぶすなどの駆除も可能になります
スーパートコジラミに要注意
殺虫剤で駆除する方法もあるのですが、近年ピレスロイド系の殺虫剤などの薬に強いトコジラミが発生してきています。
殺虫剤での駆除では一斉駆除は難しくなっている現状です。
室内に害虫を侵入させないためにすべきこと
屋外に生息している害虫を室内に入れないようにするのが、害虫を繁殖させない一番の予防方法です。では、室内に害虫を侵入させないためには、どのようなことをすればよいでしょうか。
外出時に持ち込まない
外出時、さまざまな場所から付着してくるのがトコジラミです。トコジラミは目に見える大きさなので、室内に戻る前に衣類やカバンなどにトコジラミが付着していないかチェックするのがよいでしょう。
また、ダニやノミは高温多湿のところに生息しています。ダニやノミが付着しないようにするためには、不用意に湿度の高い場所や、茂みに近づかないようにしたほうがよいでしょう。
虫の嫌がるハーブ類を栽培してみる
害虫はレモンなどの柑橘系やハーブのにおいが苦手です。害虫が苦手とされる種類のハーブを、ベランダや庭に栽培することによって、害虫の侵入防止対策になります。
自力での駆除が難しければ業者に依頼すべき
庭に害虫が繁殖してしまった場合、被害範囲を特定するのは非常に難しいです。そのため、自力での害虫の一斉駆除や対策をとることには、限界ができてしまいます。
そういた場合は、無理に自力で駆除や対策をするよりも、プロに依頼したほうが効率よく、しっかりとした駆除をしてくれるでしょう。
まとめ
● ダニやノミ、トコジラミは室内の部屋からだけではなく、屋外からもってくる場合がある
● ダニはマダニやイエダニなど、人にかんできたり、感染症を引き起こす可能性があるので注意が必要
● ペットや小さいお子様がいる場合はノミに注意
● ノミが主に湿度の高い草木の中に生息し、人や動物に付着、刺してくる
● トコジラミは近年、衣服やカバンなどに付着して日本にも増殖してきている
● トコジラミはベッドバグとも呼ばれ、夜寝室で寝ているときに刺される場合が多い
● トコジラミやノミを屋外で発見したときの駆除方法は熱湯をかけると効果的
● 近年スーパートコジラミと呼ばれる、殺虫剤や薬に強い種類が発見されている
● また庭先など害虫を発見した場合、すべてを駆除するのはとても困難なのでプロに依頼したほうがよい